湖底

爆裂ハートフルコメディ

WUG初心者こそ舞台版Wake Up, Girls!を見てほしい

こちらの記事を拝見して思うところがあったので久々に筆を執りました。今回も書きかけのまま放置していた下書きの再利用ですが。

 

WUGの魅力は2次元のキャラクターと3次元のキャストのハイパーリンクです。オーディションで選ばれた7人の新人声優が演じるキャラが新人アイドルユニットとして成長していく物語も、キャラを背負ったキャストが成長を重ねライブで見せるパフォーマンスも、どちらもWUGを語る上で欠かせないものです。なのでWUGを理解するならアニメもライブ映像も全部見ろとしか言いようがないのですが、まあ実際のところ時間もお金もかかるし面倒だなぁ……という人もいるでしょう。

 

そんな貴方にオススメなのが舞台版です。

2017年1月に第1作目「舞台 Wake Up, Girls! 青葉の記録」、2018年6月に続編「舞台 Wake Up, Girls! 青葉の軌跡」が上演されました。共に脚本はアニメ版と同じく待田堂子さんが担当し、前者はアニメ第1作の映画「七人のアイドル」を、後者はTVアニメ1期前半、主に5~7話の物語を描いています。

 

アニメの声優が生身で演じるアニメの物語

WUG舞台の最大の魅力は、何と言ってもアニメの主演声優がそのまま実際に生身でキャラクターを演じていることです。今でこそ声優が舞台に出演することも珍しくなくなってきましたが、アニメと同じ声優が同じストーリーを舞台で演じるというのは2.5次元舞台ブームの中でもまだ珍しい試みだと思います(なお第1作は某スタァライトよりも先です)。しかもWUGの場合はキャラクターと声優が同時にデビューし、名前が同じで設定にも実際のエピソードが反映されているなど、その親和性は通常の役者とキャラとの関係性を超越したものがあります。

アニメWUG初期のエピソードを生身の声優による演技で楽しめる舞台版は、2次元と3次元の物語を同時に楽しめて一石二鳥です。しかも本編の後にはライブパートがあり、WUGのライブパフォーマンスもしっかり堪能できるものになっています。一石三鳥ですね。

第1作は既にBD化されており、第2作は11月下旬にBD発売予定となっています。それなりに値段は張るのですが、どのライブ円盤を買うか迷っているなら舞台版から入るというのも手です。お近くにワグナーがいる方は「WUGに興味がある」と言えば喜んで見せてくれることでしょう。なお第2作「青葉の軌跡」のオッドストア限定版(複製台本、舞台前説・後説全ナレーション収録CD付き)は今日10/31日が予約〆切です。急げ!!!

私は先日開催された上映イベントで一足先に拝見しましたが、カメラアングルやカット割りが非常に素晴らしく、映像作品としても見ごたえあるものになっています。劇場で見た人も繰り返し見ることで細かな演技など新たな発見があることでしょう。

 

素晴らしかった「青葉の軌跡」

ここからはもう少し内容に踏み込んでいきます(若干ネタバレ含む)。第1作と第2作を順番に観るのが一番なのですが、どちらか一方を選ぶなら個人的には第2作「青葉の軌跡」をオススメします。なお自分は第1作を観に行けず(上演当時まだそこまでワグナーじゃなかった)BDのみの鑑賞で、第2作は3日目と千秋楽の4公演を鑑賞したのでそう思ってしまうだけかもしれません。

前作「青葉の記録」では映画と同様、WUG7人の出会いから最初の勾当台公園ライブを迎えるまでの姿が描かれましたが、「青葉の軌跡」では7人が正式にユニットとして始動し、初めての単独ライブで挫折を味わい、大きな危機を乗り越え、絆を深めて成長していく物語です。冒頭は「今」のWUGから結成当初に遡るような構成で、7人のキャラクター紹介(ここの吉岡茉祐さんの長台詞がめちゃくちゃ早口なのにスムーズで凄い)もあるので前作を観てなくても大体わかるようになっています。

舞台のあらすじやセットの雰囲気などは上記の記事を見てもらえば分かるのですが、この回転舞台が肝でした。本作は仙台のド素人アイドルユニット「Wake Up, Girls!」と、WUGのセンター島田真夢がかつて所属した国民的アイドルユニット「I-1 Club」の対比を軸に描かれます。劇中のライブシーンでは、未熟なWUGのバラバラのパフォーマンスと、I-1のプロフェッショナルで大盛り上がりのライブとが回転舞台によってスピーディーに転換され、非常にわかりやすく演出されています。

14人の物語を追体験

本作で描かれるアニメ1期の放送当時、声優ユニットのWUGもまだド新人で未熟なユニットでした。メンバー同士の絆も今ほど深くなく、ライブパフォーマンスも荒削り。二次元のキャラと同じような状況でした。それが今や圧倒的なライブパフォーマンスと最強の絆で結ばれた7人になっているのですが、その7人が初期のWUGを演じるわけです。目も当てられないような失敗だらけのライブや、意識に差があり感情をぶつけ合うメンバーの姿を目の前で見せ付けられると、まるで本当にデビュー直後の姿を見ているような気持ちになれるのです。僕は去年から本格的にワグナーになった人間ですが、この舞台を鑑賞したことによって実質的に最古参になることができました(?)。

レベルアップした演技力

そう思わされたのは、7人の演技力がとても高いレベルにあったからです。前作よりも一段とレベルアップしていました。元子役で現在も多数の舞台に出演している吉岡茉祐さんが上手いのは言わずもがなですが、本作では特に青山吉能さんの演技がとても良かった。青山さん演じる七瀬佳乃は前作よりも大幅にセリフが増え、物語の軸となってくる存在なのですが、彼女の演技が本当に良かった。アニメ初期の佳乃はプライドが高く常にピリピリとしたオーラを放っていて、思い詰めると一人で絶望してしまうようなキャラクターだったのですが、それを完璧に演じきっていました。藍里の脱退をめぐってメンバーと口論になるシーンでの追い詰められた表情は完全に七瀬佳乃だった。

また奥野香耶さんは最もキャラクターと実際の外見が離れているのですが、舞台上にはいつもの小さくて可愛い奥野香耶さんではなく、喧嘩っ早くて面倒見のいいWUGの姉御的な存在である菊間夏夜が間違いなく存在していました。ただ声が一緒だから、というだけでなく、ちゃんと全身でキャラクターを演じきっていたと思います。4月に舞台「華枕」に出演した経験も生きているのでしょう(残念ながら僕は観に行けませんでした)。

キャラと本人の違いといえば、林田藍里演じる永野愛理さん。永野さんは数々のWUG曲の振り付けを担当するバリバリのダンサーですが、劇中では他メンバーにパフォーマンスで遅れをとり、クビを宣告される役柄です。ちょっとわざとらしいくらいの「踊れない」演技でしたが、踊れる本人を知ってるので面白かったですね。

また、I-1 Clubセンターの岩崎志保(大坪由佳)以外のサブキャラクターはアニメ版とキャストが変更されていますが、舞台版のキャスト陣のアニメ再現力も凄かった。特に福山聖二さん演じる早坂相はもう本物がそこに立っているとしか思えない存在感でした。稽古場で常にアニメWUGを見て研究していたとのことで、プロの俳優の力に感激。社長と松田の熟年コンビのような会話劇、非常に短い期間でプロのアイドルのパフォーマンスを仕上げてきたI-1組もお見事でした。

 

ライブパート

本編ラストで時空は「現在」へと戻り、最新曲「Polaris」のライブで幕を閉じます。最後に挨拶が組み込まれているのでライブVer.とはやや違いますが、現状Polarisのライブ映像は円盤化されていない(アニサマと5周年ライブは円盤化予定)ので、この「青葉の軌跡」が第1号となります。

そして本編後のライブパートでは、劇中で披露した楽曲を改めて現在のWUGによるパフォーマンスで見ることができ、成長を実感することができます。劇中とは一転しキレキレの永野愛理さんのダンスに注目です。

 

続編を諦めない

ご存じの通り、「声優ユニットWake Up, Girls!」は2019年3月末での解散が決まっています。しかし「プロジェクトとしてのWake Up, Girls!」は今後も継続すると発表されていますし、一部メディアの記事ではその中に舞台も含まれていました。

「青葉の軌跡」も、当初は映像化予定が無かったにもかかわらず、ファンの声を受けてBD化が決まった、とされています。ここまで舞台化されたのはWUGの物語の始まりの部分に過ぎません。先日の上映イベントでも出演者一堂、続編を待ち望んでいました。諦めずに声を上げ、物語の続きが見られる日を待ちたいと思います。