湖底

爆裂ハートフルコメディ

「天気の子」感想の羅列

昨日観た直後にドトールに1時間半篭って書いてたのが全部消えて泣いちゃった。

感想らしい感想は書けないので覚えてることだけ羅列していきます。

ネタバレが嫌な人は見ないでください。

 

 

 

 

 

 

 

・遅刻して冒頭数分見逃した。

・「君の名は。」よりは好きかも(君の名は。の内容あんまり覚えてないが)

・隕石落下というやや日常離れした破滅的な前作のテーマよりは、豪雨や海面上昇は現実の延長線上にある出来事であり、観衆もリアリティを感じつつ観られたのでは。

・前作がバッドエンドを「無かったこと」にして回避したのに対し、今作は東京が水没した上で人々の営みが続いており、より物語として成熟した気がする。3.11後の日本に近いのも後者では。

・そもそも人々の日常的な感情から都市の破滅にまで影響を与える「天気」をメインテーマに据えたのが非常に上手い。

・周囲の人物の造形は上手かったと思う。主人公を助けるのも見捨てるのも動機として矛盾がなく、ストレス無く観られた印象。

・前半に「これ要るか?」ってシーンが多かった割に終盤がやや駆け足に感じた。引き離された3年という時間の重みをもう少し感じさせてほしかった。

セカイ系云々の議論はよく分からんけど、世界の運命よりも君を選ぶんだという結論はとても新海誠っぽいなと思った。その結果しっかり世界がダメージを受けているのもご都合主義感が無くて良い。

・でも「秒速5センチメートル」のオタクとしては、新海誠に本当に描いてもらいたいのは世界の運命とかそんなの関係なく、もっと小さな世界のシンプルでピュアなボーイ・ミーツ・ガールの物語なんだよな……。

・具体的に言えば「薄暮」(山本寛監督)の東京版で、もうちょっと後味悪くしたようなやつを見てみたい。

 

 

以下、本筋以外の細かい感想

 

小栗旬が上手すぎてエンドロールまで本職声優だと思ってた。主人公2人の演技は可もなく不可もなく。本田翼、0点。

・帆高から凪の呼び方が途中から完全に「先輩」になってて笑った。個人的にも一番好きなキャラは先輩です。

・リーゼント刑事、リーゼントである必要あるか?一人だけやけにアニメっぽくて浮いてたけど。

・「拳銃が出てくる必要あるか?」とツイのオタクが書いてたけど、一応作劇上の意味はあったし少年が銃持ってたらなんか大作エンタメ感出てくるしいいんじゃないでしょうか。銃を構えた警察官が少年を取り囲む画のありきたりな安っぽさは否めませんが……。

・拾い物とはいえ人に向けて実弾を2発発射した少年が保護観察処分で済むとは思えないぞ(少年のうちに陽菜に会わせなきゃいけないから仕方ないね)

花澤香菜佐倉綾音はクスっときたけど、たぶん声優の使い方として正しくはない。同じ2人なら「薄暮」の方が200万倍良い使い方してる。

・花火のシーン、予算が潤沢になってグリグリCGを動かせるのはわかったけど、俺が見たかったのはあんなただ流行のドローン空撮みたいな映像じゃなく、新海誠にしか描けない「東京の花火」のアニメーションなんだよな……。

・ただ、アニメーション史上最も美しく描かれたであろう六本木ヒルズ森タワー屋上スカイデッキのカットは非常に良かった。

・やはり東京を一番美しく描けるアニメ作家は新海誠である。東京ならではの街中の高低差を生かした描写はお家芸。スクリーンからゲロと生ゴミの臭いまで伝わってきそうな歌舞伎町の路地裏の空気感、最高。

新海誠といえばNTTドコモ代々木ビルですが、本作のベストオブNTTドコモ代々木ビル賞は終盤の代々木会館越しのNTTドコモ代々木ビルのカットです。

・瀧くんと三葉が出てきたのは前作ファンへのサービスとして良かったのでは。意味深に顔を隠して登場した女性店員の名札が「MIYAMIZU」なのはニヤリとしてしまった。

・大雨特別警報が出てもそれほどパニックにならず、避難していない人が大勢いるのは多分実際そうなるんだろうなぁという感じがある。

・水没した後の東京で、航路付近の水中障害物に灯浮標が設置されている細かい描写が良かった。海上保安庁交通部からボーナスポイント+10000点贈呈。

・ただレインボーブリッジの橋桁(高さ52m)が水没した状態では田端も無事とは思えないが……(田端駅南側の台地もせいぜい標高20数m程度)

・水没したトラックの荷台を利用して高架によじ登るアクション、絶体絶命都市っぽかった。

・雪の降る東京で警察官らが空を見上げるカットは劇パト2のオマージュか。

 

 

いろいろ書いてきましたが、前作が空前の大ヒットを記録して関係各所からのプレッシャーや横槍もめちゃくちゃあったであろう状況の中で、自分の作家性と大衆ウケを一定両立させた作品をしっかり描ききった点は凄いと思います。次回作以降にも期待したいですね。