湖底

爆裂ハートフルコメディ

【ネタバレあり】映画「君たちはどう生きるか」感想

宮崎駿の新作映画を予備知識一切無しで受容できる」という人生でおそらく最初で最後のチャンスを逃すのは勿体無いなと思って初日に鑑賞しました。

 

平日午前にもかかわらず流石の埋まり具合でしたが、見た感じほとんどが30代以上の男性だった気がします。ジブリファンの高齢化を感じる。

 

以下、ネタバレ込みの感想を書いていくのでご注意ください。

タイトル元の書籍を含め、事前知識一切無しで1回観ただけなので事実誤認・解釈違い等多々あるかと思いますがご容赦ください。

 

 

 

宮崎駿の脳内にある絵コンテ全部繋げました」みたいな映画だった。

画の力は凄いけどストーリー展開はムチャクチャ。でも駿がこれ描きたかったんだから仕方ないよな……ってなる。

事前宣伝一切無しは話題作りもあるだろうけど、どう宣伝したらいいのかわからない故の苦肉の策かもしれない。これのあらすじ書いて予告編作れって言われたら困るよな。

物凄い金のかかったインディーズ映画と言えるかも。

 

あえてストーリー性を見出すとすれば、自身の映画作りそのものを描いたのかもしれない。

さまざまな異世界へつながる魔法の塔=スタジオジブリ。その主は老い、塔はバランスを失い崩れかけている。

主の想いは若き日の駿であり、次世代のクリエイターでもある主人公の少年によって受け継がれていく……みたいな。

友達でもあり敵でもある青サギは鈴木敏夫か?

 

作画は本当に圧倒的。普通のアニメでこんな作画カロリー使うカット許されないだろ……みたいな場面がバンバン出てくる。

鳥の動き、人物の何気ない日常動作など、全てのアニメーションの質が高い。

宮崎作品でよくある、敵の群体に取り込まれる描写は本作でも頻出。なんとなくだけど、群衆への嫌悪感、群れに立ち向かう個の強さみたいなのを描くのが好きなんだろうな。


ラピュタのような、筋の通ったわかりやすい映画を求めて観たら何だこれ?となるだろうけど、たぶんそうじゃないだろうなと思って観たので納得の内容だった。

わけわからなさすぎるしクソ長いし正直しんどかったけど、それが予想通りで嬉しくてニヤニヤしながら2時間半を過ごした。

宮崎駿がそんな綺麗に終われる人間であるはずがないんだよな。

今も駿の頭の中はファンタジーな妄想で満ち溢れていて、まだまだ描き足りない世界があるんだと思わせてくれた作品だった。

ただ、もう子供でもわかるようなまっすぐな映画は作れないのかと思うと、少し寂しい気もする。