湖底

爆裂ハートフルコメディ

Wake Up, Girls!新章を総括する

この記事は「Wake Up, Girls!Advent Calendar 2020」18日目の記事……になる予定のものでした。


例によって今年も大遅刻ですが、みんな遅れてるし仕方ないよね。前日の担当はむさしたあさん、翌日は助手さんの「WUGの新章」です。

 

私がWUGアドベントカレンダーに参加するのは3年目になります。

 

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一昨年の記事

 

さて、今年のテーマは「Wake Up, Girls!新章」の総括にしました。放送から3年経ち、ユニットも解散した今ならフラットな目で振り返ることができるんじゃないかと。単なるアニメの感想としてだけでなく、WUGというコンテンツにおいてどのような役割を果たしたのかを考えていこうと思います。

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アニメの感想

新章は一応本放送時に全話見ましたが、この記事を書くにあたって、HOME仙台公演の際にゲーマーズ仙台店で予約購入して以来未開封だった新章Blu-ray BOXを引っ張り出して再視聴しました。

 

改めて見ると、大まかなシナリオはそこまで悪くなかったような気がします。メンバー個々のお悩み解決→真夢と志保のドラマ共演→ランガちゃんのアイドルデビュー→Vドルとの対決→全アイドル集合で大団円という流れ。特に真夢と志保はBtBよりも一歩進んだライバル関係になってて面白かったですね。

ランガちゃんを研究生として(金を取って)所属させるのはグリーンリーヴスの規模的にも上手い落としどころだったと思います。三次元のRun Girls, Run!が独り立ちした今、改めて二次元のランガちゃんと一緒にデビューした3人を見るとめちゃくちゃ初々しくて微笑ましく、ちょっとエモくなってしまいました。

またVTuber全盛の2020年現在から振り返ると、バーチャルアイドルVSリアルアイドルという話を2017年に描いていたのは先見の明があったのではないでしょうか。

 

ただしそれをアニメとして上手く描写できていたかというと……。

 

新章、ここがダメ

※この節は老害アニオタによるただの文句なので新章ファンの方は読み飛ばしてください。あくまで個人の感想です。

 

キャラが動いてシナリオを作るというよりシナリオにキャラが動かされてる感じでしたね。丹下社長は豊田真由子もビックリのパワハラババアになってるし。7人も旧章ほど個々の人生についての掘り下げがなく、薄っぺらいキャラになっている感があります。

 

作画は旧章もTV放送版では決して褒められる出来ではなかったものの、「この場面を描きたい」という意思は感じられるものでした。一方新章はそもそも何を伝えたいのか意味不明な構図やカット割りが頻発し、作画が修正されたBD版を見ても全く魅力的じゃないんですよね。作画の節約もあるんでしょうけど、根本的にセンスが無いというか……。CGを使ったダンスパートもカメラワークが謎。

僕は人格は別としてヤマさんの演出家としての能力を一定評価*1しているのですが、彼はカット割りのセンスが抜群に良いんですよ。

 

サブタイトルのテロップの入れ方やOPEDの作りもダサい。旧章はこの辺かなりこだわっていたと思います。関連商品のデザインもプロジェクト初期は格好良かったのにどんどんダサくなっていきましたね(HOMEツアーグッズのダサさに至っては1周回って愛おしいレベル)。

 

そして東北の描き方。地方アイドルVS東京の構図は若干残っていましたが、東北ならではの描写が薄い。一軒家での共同生活は舞台こそ仙台の「中山モダンハウス」ですが、話としてはあれが東京郊外の一軒家でも成立しちゃうんですよね。また、仙台以外の東北が登場することもありませんでした。

極めつけに「仙台空港跡地」という無神経極まりないセリフ。新章は仙台空港が跡形もなく流されてしまった世界線なのか知りませんけど、現実に震災から復旧した仙台空港でMVを撮った*2作品のセリフとは思えません。ストーリー上は広い空き地であれば何でもよかったはずで、何でわざわざこのセリフになったのか、誰もNGを出さなかったのか理解できません。

 

Wake Up, Girls!というアニメ作品の本質は、東北のご当地アイドルが何度も逆境に立たされながら再起し輝こうとする姿を、被災地の復興と重ね合わせて描くことにあったと僕は考えています。だからこそ、現実に被災したままの気仙沼を正面から描いた旧章を高く評価していたのですが、新章にそのようなメッセージ性は一切感じられませんでした。

  

何故ダメだったのか

まず新章に至る経緯ですが、2015年12月12日のイベント「Wake Up, Girls!Festa. 2015 Beyond the Bottom Extend」のラストで、白木徹の「私達I-1clubはWake Up, Girls!を吸収合併します」というセリフとともにWUGの新プロジェクトが発表されました。

しかしその後、なんやかんやあって前監督を始めとする旧章主要スタッフは一掃。1年後の2016年12月11日、「Wake Up, Girls!Festa. 2016 SUPER LIVE」で「新章」の制作が発表されました。同時に「第3回アニソン・ヴォーカルオーディション」の実施も告知され、2017年7月30日のワンフェスでお披露目された合格者3名がRun Girls, Run!です。その後10月から放送が始まりました。

 

つまりなんやかんやあってから実質1年くらいで新スタッフで制作して放送を迎えた訳で、そりゃスケジュールに無理があるってもんです。ミルパンセが請けたのも他に請けてくれるところがなくて尻拭い*3したってとこでしょうし、同情の余地はあります。元のスタッフが誰一人残ってないのに作品テイストを維持するのも不可能でしょう。

 

放送時期をずらせばもう少しクオリティを上げられたのかもしれませんが、それは無理でした。何故なら18年1月期からはRGRがOP、WUGがEDを務める「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」の放送があり、4月からはRGRがi☆Risからプリティーシリーズを引き継ぎ「キラッとプリ☆チャン」で主演デビューするという筋書きが決まっていたからです。

声優ユニットの活動を前提にスケジュールが決まっていたので、アニメ作りはそれに無理矢理合わせる形になっていた訳です。旧章を含め、エイベックスアニメの放送クオリティがイマイチ良くないものが多いのはこの辺の体質に問題がありそうです。

 

じゃあもし「なんやかんや」が無く、前監督がそのまま続編を作っていたら?

ひょっとしたら新章よりは面白いアニメができていたかもしれませんが、あのBeyond the Bottom以降は誰が作っても蛇足になっていたんじゃないかと思います。BtBがあまりにも綺麗に終わりすぎていた。I-1がWUGを吸収合併してどうなったのかはちょっと見てみたい気もしますけどね。 

 

それでも新章があってよかった

前置きが長くなりましたが、ここが本題です。

散々文句を言っておきながら、それでも僕はWake Up, Girls!新章があってよかったと思っています。何故なら、2017年以降のWUGの活動は新章のおかげだからです。新章という展開があったから、ユニット結成4年目という脂の乗った時期にANIMAX MUSIXやあにゅパ、アニサマといったフェスへの出演やWUGちゃんねる、ANNiなどの新番組が生まれ、多くの人がWUGと出会うことができました。

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アニサマ2017☆(み´μ`ゆ)|Wake Up, Girls!オフィシャルブログ Powered by Ameba

アニサマ2017のBeyond the Bottomは、当時のWUGが持つ全てをこのステージにぶつけて、新章へつなぐんだという気迫が感じられた素晴らしいパフォーマンスでした。

 

何を隠そう、僕も2017年1月にANIMAX MUSIX 2017 OSAKAでWUGに出会った一人です。初めて*4WUGのパフォーマンスを見て衝撃を受けた後、ぺらじやWUGちゃんねる、夏の4thツアーといった沼の入り口がタイミング良くご用意されていたせいで、人生がひっくり返るほどどっぷりとハマってしまいました。

同様に2017年ごろのフェスでWUGに出会った人や新章を見てWUGを知った人もたくさんいて、あの超新星爆発のようなWUGちゃんのラストスパートを見届けることができたのは幸運だったと言うほかないでしょう。

 

あと新章の楽曲はどれも強い。「君とプログレス」「Jewelry Wonderland」「Glossy World」「カケル×カケル」、そして「Polaris」。もしWUGがBtBで完結していたらこれらの楽曲は世に出ていなかったかもしれません。

ところで「あおばブルース*5」がアルバムに入ってて「ニャオンのテーマ*6」が未音源化なのはどういうことなんでしょうか?改めて見たら結構可愛かったのですが……。

 

そしてこれは個人的な考えですが、新章がダメだったからこそ、7人はより強くなったんだと思います。思えば4thツアーの前後、メンバーはしきりに「不安だと思うけどついてきてほしい」というメッセージを発していました。新章が今までのワグナーが満足できるものでないことを感じ取っていたからこそ、自分たちの力で繋ぎとめるんだ、アニメに頼らず自分たちがWUGというコンテンツを引っ張って行かなきゃいけないんだという思いを強くしたんだと思います。

この夏のセットリスト。

新章に向けてTUNAGOのテーマのもと、みんなとの思いをつなぎたい思いが詰まっていました。

そして、WUGがWUGであるために。

今、WUG自身が、その芯をしっかり持って表現できないと、新章に不安をもたせて夏を終えることになると思ったから。

それだけは何としても避けたくて。

完走@まゆ|Wake Up, Girls!オフィシャルブログ Powered by Ameba

WUGはプロジェクト初期から、前監督の素行の悪さも相まって幾度となく外野に叩かれてきた作品でした。それを乗り越える度に、7人の絆は深まり、強くなっていった。新章もまた、7人が乗り越えるべき試練の一つだったのではないでしょうか。

 

もし、新章がめちゃくちゃ面白くて大ヒットしていたら、ユニットのファンも増えて、また違った未来があったかもしれません。ひょっとしたら、もう少し延命して令和まで活動を続けていたかも。そんな妄想をすることがあります。

でも、声優ユニットはいずれ終わる運命にある儚いものです。新章が大ヒットし、延命できたとしてもせいぜい数年でしょう。その時、あの伝説のHOMEツアーやSSAのような華々しい終わり方ができた保証はありません。仮に1年延びていたらコロナ禍が直撃してファイナルライブの開催は不可能でした。

 

新章がああなって、2018年6月15日にWUGの解散が発表され、2019年3月8日にファイナルを迎えたからこそ、WUGは伝説になれたんだと思います。

 

最高の運命を導いてくれた、愛すべきクソアニメ「Wake Up, Girls!新章」。これもまた、僕の大切な想い出の一部です。

 

 

 

いや改めて見返したら新章もまあまあ面白かった(特に後半)ので、今まで毛嫌いしていた方も一度心のハードルをグッと下げて見てみてはいかがでしょうか?

 

 

*1:演出のセンスはあるが、商業作品の監督としてチームをまとめ、スケジュール内で作品を完成させる能力は無いに等しい

*2:Wake Up, Girls! / TUNAGO(Music Video) - YouTube

*3:ミルパンセは続・劇場版「青春の影」からOrdetと共同制作

*4:実際にはアニサマ2015などで見てたのですが

*5:2話の挿入歌らしいけどどこで流れてたかマジでわからん

*6:9話挿入歌。現実のWUGちゃんもコラボしたWAONならぬNYAONのCMソング