湖底

爆裂ハートフルコメディ

結局、Run Girls, Run!とは何だったのか?

一周忌ということで、解散直後くらいに書き始めて途中で下書きに眠ってた記事を放流します。RGRアドベントカレンダーが開催されるならそのネタにしようかと思っていたのですが。

 

早いもので、Run Girls, Run!の解散から1年が経ちました。

この間に林鼓子さんの躍進もあり、初めてRun Girls, Run!という存在を知った方もおられるかもしれません。

 

ファイナルライブの感想は前回書いたので、今回はRGRの5年半を振り返り、何が魅力だったのかをまとめてみたいと思います。

 

 

3人の個性が輝き、ファンと共に高め合う場

僕が何故Run Girls, Run!を5年半も推し続けられたのかと考えると、それはこのユニットが林鼓子森嶋優花厚木那奈美という3人がそれぞれの個性を発揮して輝ける場だったからだと思います。

 

声優ユニットには大きく分けて2種類あり、作品発の劇中ユニットとしてキャラクターを演じるものと、特定の作品に依存しない声優本人が主体のものとがあります。RGRは前者として出発したものの、活動実態としては後者でした。

 

Run Girls, Run!は「Wake Up, Girls!新章」の劇中ユニットとしてデビューしましたが、ライブのステージに立つ3人は、ごく初期を除けば二次元RGRをなぞったものではありませんでした。同様に、3人とも「キラッとプリ☆チャン」のメインキャラクターを務めていますが、プリティーシリーズには作品としてのライブが別にあるため、RGR単独のイベントでは、林鼓子森嶋優花厚木那奈美の3人としてステージに立ってくれました。その3人の自然体のパフォーマンスがとても好きだったんですよね。

 

そして3人とも、ライブ中に客席とのコミュニケーションをすごく楽しんでくれるタイプのアーティストでした。オタクが楽しそうにしてると本当に嬉しそうにしてくれるんですよね。適度にレス返してくれるし。

ファイナルの感想にも書きましたが、オタク一人一人の反応が直接ステージ上に伝わり、それを演者がパフォーマンスで返してくれる。ステージから客席への一方通行でなく、相互に高め合うことができたのがRun Girls, Run!のライブでした。

コロナで長らく制限されてしまったものの、常識の範囲内であれば跳んだり叫んだりすることもウェルカムな雰囲気で良い現場でした。5周年ツアーとかファイナルでは最後の方オタク全員鬼マサイしてましたからね。

 

特定作品の世界観を表現する場ではなく、素の3人が個性をぶつけ合い、ファンと共に自らの物語を作り上げていく場。それがRun Girls, Run!でした。

 

今後3人が再びライブのステージに立つことになっても(一人はもう立ってますが)、個人としてアーティストデビューでもしない限りはコンテンツのイベントにキャラクターを背負って出ることになるので、なかなかこういう空気感にはならないのかと思うと少し寂しいですね。

もちろんコンテンツの力を使ってRGRでは辿り着けなかった大きな舞台に立てることは素晴らしいことですし、声優としてはむしろそれが王道だと思うので、3人ともそういう未来が来るなら喜ばしいことです。まさか夢だった武道館を飛び越えて東京ドームに立つ日が来るなんてね。

 

曲・パフォーマンスが良い

あとは曲が良かった。タイアップ曲が良いのはもちろんですが、カップリングも含めて「捨て曲」と言えるような曲は1曲も無かったと感じています。途中で制作体制が一新*1されたものの、デビュー曲「カケル×カケル」から、「ランガリング・シンガソング」「無限大ランナー」を経て最後のリリースとなったGet set, Go!収録の「Believer Switch」まで、疾走感溢れる楽曲群でRGRのコンセプトを貫き通せたのは良かったと思います。

 

また、RGRは声優アーティストにしては距離が近く、地下アイドルとしてはパフォーマンスが良すぎるユニットでした。接近イベントはそれほど頻繁に行われた訳ではありませんが、何度か話せば普通に認知が得られ、ライブや出演作品の感想から雑談まで気さくに話すことができました。一方でライブパフォーマンスは流石のavex仕込みで、激しい振り付けを伴いながらの生歌の安定感ではそんじょそこらの声優ユニットやアイドルたちには負けないものを見せていたと思います。

 

 

アイドルフェスに出る機会も多くありましたが、基本的に対バンで特典会はやらない方針だった*2のでその場で新規を獲得することはほぼ無く、逆に他の出演者の特典会でランガのオタクはどんどん釣られて流出していきました。初期のオタクは大半が地下に潜っていきましたね……。

 

アイドルの対バンって特典会までがセットでドルオタもそのつもりで来てるので、接近やらないなら出る意味あんまり無かったなと今でも思います。パフォーマンスで客を呼びたいならもっとアニソンの対バンに出てほしかったところですが、コロナ禍に入ってアニサマANIMAX MUSIX以外の中小規模アニソンイベントがほぼ全滅してしまったのが痛かった。かつて駆け出しのアニソンアーティストはそういうイベントで場数を踏んで経験値とファンを増やしてきたんですけどね。アニマには2回出演*3しましたが、アニサマはけやき広場止まりで本選出場ならず。

その中で「京Premium Live」は毎年呼んでくれて本当にありがたかったですね。しかもほぼ全出演者に4〜5曲の枠を用意してくれ、タイアップ曲以外も聴ける素晴らしいイベントです。

 

アニソンアーティストとしては、a社は他レーベルよりも自社アニメの枠が少なく、それを先輩ユニットら他の所属アーティストと奪い合う状況で、プリチャン以外はなかなか主題歌を歌えませんでした。何本か得た深夜アニメタイアップも総じてアニメのクオリティが低くヒットには至らず。曲は良かったんですが……。

 

そのほか1stツアーで強気すぎる箱を選んでガラガラ、2ndで一転絞りすぎて落選祭り、3rd*4と4th*5以外は単独公演の映像が残っていない等々運営には不満タラタラだったのですが、それでも声優ユニットが現れてはすぐ消えていくこの時代に、5年半も活動を続けてくれたことには感謝しかありません。本人の意向を尊重したソロ曲の制作やバースデーソロイベントの開催など、巨大コンテンツに属さない声優としてはかなり恵まれた環境だったと思います。

 

 

何より、僕が最初から最後までこのユニットから離れられなかったのは、3人の真摯な人間性によるものが大きかったと思います。

 

厚木那奈美さんという推しメンこそいるものの、本当に3人とも良い子で、誰一人無視できる存在ではなかった。だからこそ写真集クラファンで15万1人ではなく30万で3人を呼んだんですよね。今思えば45万円払ってもよかったなとちょっと後悔してますが。

 

それはファイナルライブでのお手紙や、Run Girls, Run!として最後の日に更新された3人のブログからも読み取れるはずです。

 

 

3人の実力や人間性を鑑みれば、それぞれRGRではない別の形でデビューしていても全然おかしくなかったと思います。ひょっとしたら、最初からもっと売れて人気声優になっていた世界線があったのかもしれません。

 

でも、この3人がRGRとしてデビューし、僕の目の前に現れてくれて本当によかった。

RGRじゃなかったら、この3人を3人とも追いかけることはなかっただろうし、この3人じゃなかったら、RGRがこんなに好きなユニットになることもなかったでしょう。大好きな3人が、大好きな曲ばかり歌ってくれて、近い距離でコミュニケーションが取れる。本当に奇跡みたいな5年半でした。

爆売れしなかったからかもしれないけど、こんな実力派のユニットを手を伸ばせば届くような距離で眺めることができたのは幸運でした。

 

だから、いま林鼓子さんが立て続けに大きな作品の大きな舞台に立っていることも何ら不思議ではなくて。

 

もちろん、仮にRGRが爆売れしていたとしても3人は変わらずファンと真摯に向き合ってくれていたと思うし、今後もそうあり続けてくれると信じています。ラブライバーやバンドリーマーの皆様も安心してください、林鼓子さんは裏切りません。もちろん、森嶋優花さんと厚木那奈美さんも。

 

ダラダラと綴ってきましたが、結論としては、Run Girls, Run!「ちょうどいい」ユニットだったんだと思います。少なくとも自分にとっては。

実力と距離感のバランス、3人の個性のバランス、楽曲のクオリティ、タイアップ作品との相互作用、その全てがちょうど良かった。

 

オタクの輪

メンバーが仲良かったのかどうかはわかりませんが、オタクは仲良しでした。でも仲良くなったのは割と終盤になってからでしたね。

元々WUGとプリティーシリーズという2つのルーツを持つユニットなので、オタクもそのどちらかを出自とする者が大半でした。そしてワグナーとプリのオタクは、表立って敵視はしていなかったけど、相互不干渉という感じが長く続いた気がします。僕自身、長らくプリ出身のオタクとはあまり絡まず、WUGからの身内とばかりつるんでいました。さらにコロナ禍でオタクの交流がなかなか進まず、融和が進んだのは解散直前の2022年ごろから。コロナ禍による断絶で初期からのオタクが減った一方、活きの良い新規オタク達が流入してきたことが刺激となり、「ランナー」としてのまとまりが出てきたように思います。その矢先に解散発表があり、最後は一枚岩になってラストスパートを駆け抜けられたかなと。

解散後もランナー同士でキャンプ行ったりユニバ行ったりと仲良くしてくれてありがたいです。みんな女性声優のオタク辞めても友達でいてくれよな。辞められんか。

 

まとめ

Run Girls, Run!の活動は決して順風満帆ではなかったですし、先輩のように最後に目指していた場所に到達して終われたとも思えないのですが、それでもRGRはRGRなりの輝きを残して役目を終えたと思っています。今は林さんが一歩先に進んでしまいましたが、3人とも、それぞれのペースでそれぞれの道を歩んでいった先の世界で、ふと振り返ったときに「Run Girls, Run!をやってて良かったな」と思うことができたのなら、このユニットは成功だったのだと思います。

 

ファイナルライブの感想にも書きましたが、一つのユニットが誕生した瞬間から最後の日まで、5年半も追いかけることができたのは本当に幸せでした。我がオタク人生に一片の悔いなし。

 

今は無きゲーマーズ京都店にて(2017年10月)

*1:立ち上げ時のプロデューサー村上貴志氏の退社に伴い、「Run Girls, World!」から木皿陽平氏ディレクションを担当

*2:2018年11月の「わーすた presents わんわんにゃんにゃん秋祭り」など例外も

*3:2019大阪、2019神戸

*4:コロナ禍で計3回の配信。「ドリーミング☆チャンネル!」LIVE盤に最終公演を収録

*5:「Get set, Go !」LIVE盤に東京夜公演を収録