湖底

爆裂ハートフルコメディ

『Wake Up, Girls! 新章』新キャスト&新キャラクター発表会

前回の記事での宣言通り、7月30日に幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル」にて、WUG新章の新キャスト&新キャラクター発表会を見てきました。

イベントの概要については各媒体でレポートが出ていますので、自分なりに感じたこと、考えていることを中心にお伝えします。なお公平を期すため(?)今回のイベント中はイヤホンで山本寛「前」監督のツイキャス*1を聞いていたので、そちらの反応も交えて書いていこうと思います。

イベントレポート

ステージ開始時には結構な数のワグナーが集まっていました。まあ別ステージにななみん出てたり隣のFGOフェスにみにゃみいたりしますしね。僕みたいにこれだけ見に来た人間がどれだけいたかは不明。

お馴染みのBGM「前を向いて、走れ!」と共に、MCの安野希世乃さんが登場。今回は「I-1 Clubの小早川ティナ役」としてではなく、終始「司会のお姉さん」といった雰囲気で進行していました。

まず、2013年夏のワンフェスのステージでWUGのメンバー7人が発表されてからの作品の歩みが紹介されたのですが、スクリーンに映し出された4年前のメンバーお披露目の写真を見て山本監督が「俺がいない!見事なトリミングだ!」とか言ってて面白かったです。

続いて新章スタッフの板垣伸監督と、MONACAから神前暁田中秀和広川恵一の3氏が登壇。板垣監督はかなり緊張した面持ちで、イベント中も言葉は少なめでした。もともとそういう人なのかな?

そしていよいよ新キャスト3人が登場。自己紹介の後、ユニット名「Run Girls, Run!」が発表されました。オーディションの裏話もあり、課題曲が「7 Girls War」と「言の葉 青葉」だったことが明かされました。また安野さんは前日夜に吉岡茉祐さんから「うちの後輩達をよろしくお願いします」とLINEがあったことを報告。会場から歓声が上がります。

お披露目に続き、3人による初めてのライブステージが行われました。この時ばかりはヤマキャスのイヤホンを外してステージに集中。

1曲目は「16歳のアガペー」。WUGのライブではサビ終わりの「まっすぐ きみの名前を呼ぼう」で推しの名前を叫ぶコールが定番ですが、さすがのワグナー達も新メンバーにはすぐ対応できず、名前コールは少なかった印象。

1曲目が終わった時点でMCを挟み、3人ともめっちゃ息切れしているのが初々しい。林鼓子さんはまだ15歳ということで、「16歳なってないアガペー」と発言して会場の笑いを誘っていました。

そして2曲目は「タチアガレ!」。ジャンプやポジションの入れ替わりなど難しい振り付けもちゃんとこなしていて、かなりの練習量を積んだことが伺えました。

 イベント後に公開された「踊ってみた」動画。上手いですね。

新キャストの印象

前にも書いたように自分は今年ワグナーになった新参なので、WUGちゃんのデビュー当初の様子と比較することはできませんが、ランガちゃん*2の3人はすごく受け答えがしっかりしていて、緊張しつつも人前に出ることには慣れているような印象を受けました。ライブパートでは歌声こそ震えて上ずっていましたが、振り付けは揃っていて踊りながら笑顔もキープできており、初めてのステージにしては上々の仕上がりだったと思います。

特にセンターの林さんは最年少ながら一番自然体でステージに立っているように見え、「この3人の中で推すならこの子かなぁ~」などと思いながら見ていました。まゆしぃとは全く違う方向性のセンターになりそうですね。京都出身の森嶋優花さんも、隣県民として今後の活躍に期待しています。もちろん厚木那奈美さんも。

さて、近年開催される声優やアニソンのオーディションでは、最終的に合格しなかった参加者が後に別の形でデビューする例が多く見られます。特に選考終盤になれば参加者の平均レベルは高く、ほぼ全員が合格ライン付近にいるわけです。その中から選ばれるための要素は技術面よりも、作品やレーベルとのマッチングになってくるのではと想像しています。

今回の3人の中にも過去他のオーディションに参加していた方がいるようですが、それがこのWUG新章で「Run Girls, Run!」としてデビューする意味とは。今はまだわかりません(WUGも最初はそうだったと思います)が、これから「RGRがこの子たちでよかった」「この子のデビューがWUG新章でよかった」と思える展開になることを期待しています。

新章に望むこと

ライブ後は新章のストーリーも公開されました。

仙台の弱小芸能プロダクション「グリーンリーヴス・エンタテインメント」に所属するWUGは、
数多の挫折を経験しながらも、国民的アイドルグループ「I-1club」を「アイドルの祭典」で破り、優勝した。
一躍トップアイドルに・・・と思ったのもつかの間、「アイドル経済不況」が叫ばれてきたこのご時世、現実は甘くない。
7人は地道なアイドル活動に追われる日々が続いていた。
一方、仙台市の中学に通う速志歩・守島音芽・阿津木いつかの3人は、次第にアイドルに憧れを持つようになり…。*3

ということで、「Wake Up, Girls!Festa. 2015 Beyond the Bottom Extend」で発表された「I-1 ClubがWUGを吸収合併する」という話は無かったことになったのかな? なおヤマキャスによると、「3人組の後輩ユニット」という構想自体は山本監督の発案だそうです。ただし「こういう風になるとは思っていなかった」とのこと*4。後輩ユニットが登場するという大まかな話は監督交代の有無に関わらず規定路線だったんですね。もっとも、山本監督が作ったからといって新章が成功していた確証はなく、板垣監督の新章が失敗作になるという確証もありません。

ただ、このイベントに参加して不安を覚えたのは、板垣監督から「熱」を感じなかったことです。あまり多くを語らないタイプの方なのかもしれませんが、作品を通じてどんなメッセージを伝えたいのか、RGRをどういうユニットに育てたいのか、そういう思いが一切伝わってきませんでした。少なくともこれまでのWUGは明確なメッセージを持った、熱いアニメーション作品です。まゆしぃのブログにもあるように、ユニットとしてのWUGも作中と同様、常に「WUGらしさとは何か」を自問自答し、全力でステージに立ってきました。その熱量が、今のところ新章からは伝わってこないのです。

もちろんまだ放映前ですしネタバレ回避もあるでしょう。監督交代のドタバタもあり、あまり波風を立てたくないのかもしれません。でも、あまりにも「守り」に入りすぎている気がします。監督が変わったのはこの際仕方ない。制作陣が変われば作品の方向性が変わるのも仕方ない。それなら新しい方向性は何なのか、監督なりプロデューサーなりがしっかり示してほしい。中途半端にWUGモドキを作るくらいなら、全部捨ててもっと攻めてくれというのが個人的な思いです。

私は新章に成功してほしいと思っています。いちアニメファンとして面白い作品を見たいというのはもちろんですが、3人の若い女性が人生を賭けてこの作品でデビューするのです。自分と同じ苗字のキャラクターを背負って。そして先輩の7人も、まだまだ発展途上にあります。これまでのWUGの縮小再生産のようなことをしていては、せっかくの芽を潰してしまいかねません。新章がこれまでのスタイルを踏襲するかどうかはともかく、覚悟を決めて「真摯で、正直で、一生懸命な」作品にしていただきたいと思っています。それが「WUG」の名を引き継ぐ上での最低条件ではないでしょうか。

*1:ゲスト:山崎雄太(演出家、BtB副監督)、伊藤光彦(わぐZOOアシスタントプロデューサー、Ordet→マカリア→?)、近岡直(旧章キャラクターデザイン・総作画監督)、澤田知世(旧章衣装デザイン)

*2:まゆしぃのブログに準じた表記

*3:WUG3公式サイト「STORY」より

*4:脚本は2話までできていたが残っているかは不明